委任先プールの選び方

2021-10-09

こんにちは!これからステーキングを始めてみようという方向けに、委任先プールの選び方で、私が委任者として、オペレータとして見ているところ、気を付けているところなどをまとめていければと思います。「こんな見方があるんだ」と思っていただけたり、リスク回避のお役に立てれば幸いです。ここでは、データは主にPoolToolを元に考察していきたいと思いますので、ぜひご覧になりながら読んでいただければと思います。

関連情報

比較的中立的な情報のご参考

Cardano Documentation(English)
委任するプールの選択(日本語)

これからステーキングを始める方へ

ステーキングに関連する用語など
ステーキング5つの質問と仕組み

委任おさらい

POSによって、ADAをステークプールへ委任することで報酬をもらえます
「ADAをステークプールへ委任」といっても実際にADAを送金するわけではないので、委任中に別のプールへ委任変更することも、委任中のADAを売ってしまうことも可能です。その額に応じてステーク量と報酬が減るだけです。また、資産を増やして返すとうたい、ADAを「委任」ではなく「送金」するように指示するオペレータがいたらそれはおかしいのでくれぐれもご注意ください。

ADAを持つということは、ネットワークに参加してブロックを生成する権利と義務があるということになります。ホルダーはADAをステークプールへ委任することで、義務も委任できます。そうすることでプールはより高い確率で義務を果たせるようになり、ブロック生成による対価を得ることができるようになります。

ブロック生成に関しては、Ouroboros Praos consensus algorithmというランダム要素に大きく左右されます。エポック中に生成できるブロック数がランダムに変わり、結果報酬もランダムに上下します。同じ設定のプールを見比べてもROSとエポックブロックが違います。また、プール同士でのブロック生成がかち合ったときの、スロットバトル、ハイトバトルといった要素もあり、毎エポック決まったブロック生成ができる(報酬額がいつも同じ)わけではありません。

委任から報酬分配までの流れ

※ 1エポック=5日

委任者視点で、簡単に図を説明すると、

  1. 委任をする。
  2. 2エポックあとに委任が有効になる。
  3. 有効になった委任に対して、報酬が計算される。
  4. 報酬が支払われる。

という流れになります。

そのため、委任をしてから実際に報酬が発生するまで15~20日ほど待機時間があります。
上図を各エポックで繰り返し、以降、委任を解除、または移動しない限りは委任しているプールでの報酬は続きます。
全てシステムが計算するため、(別途give back的なことはあるかもしれませんが)オペレータは報酬計算、支払いに関与しません。

報酬分配までの計算

PoolToolより一部抜粋

PoolToolに関わらず、Daedalusウォレット、Yoroiウォレット、プール関連サイト上では、プールの様々な統計情報が表示されています。

この中で報酬に影響のある、手数料、固定手数料などを確認していきます。

報酬が発生するまでの計算について触れます。
エポックごとに、下記のような計算がなされ、報酬が決まります。

  1. 固定手数料が差し引かれプール・オペレータへ払われる。
  2. 委任手数料が差し引かれプール・オペレータへ払われる。
  3. 残りのADAが委任量に応じて委任者とプール・オペレータに分配される。

例:プールの報酬が1000 ADA、固定手数料340 ADA、委任手数料3%の場合、エポックの最後に、

  1. 340 ADAをプールの固定手数料として引かれる。
  2. 残りの660 ADAの3%、19,8 ADAがプールに支払われる。
  3. 残りの640.2ADAが委任量に応じて委任者とプール・オペレータに分配される。

そのため、当たり前ですが手数料等が委任者様の報酬へ影響します。
もう少し詳細に踏み込んだ内容はこちらへまとめております。

どのくらいの報酬を期待できる?

まずは、公式のStaking calculatorがあるので、時間の経過とともに報酬がどれくらいになるものなのかシミュレーションしてみると良いかと思います。Daedalus、Yoroiウォレットから見込み報酬の確認も可能になります。

SUGARステークプールでは委任者様向けにシミュレータのプログラムを組んでおります。ご委任いただいていない方でも、どれくらい委任をしているとどれくらいの報酬を得られるか、簡単に確認できますのでご活用ください。感覚だけでも伝われば幸いです。

また、報酬はビットコインの半減期の様に、時間とともに(ADAの場合は徐々に)減っていくものになります。同じ条件でも1年後では違った報酬になります。

なのでたくさん人が参加することでトランザクションが増え、送金手数料の支払いが活発になることが大切です。

パラメータがたくさんありますが、どれを参考にすれば良いでしょうか?

手数料の確認

まず、誰もが見ているであろう手数料について触れます。報酬を効率よく得るためには、「報酬分配までの計算」で触れた通り、固定費用と委任手数料がダイレクトに関わってくる値になりますので、これらに注目してみます。

下記は、ご参考までに、委任手数料の変更による委任者様の報酬への影響をシミュレーションした表になります。(こちらで書いた記事から抜粋)

  • 100K ADAを委任したと仮定
  • 手数料が0~5%の間で変動した時の、それぞれの報酬シミュレーション(ADA)
  • エポック286の時のデータを使用(Luck/もしくはパフォーマンス: 80%)
  • プール手数料は固定費(340 ADA)を含む
委任手数料(%)報酬結果(ADA)プール手数料(ADA)
050.49422886340
0.0150.49369577340.6440402
0.950.01445257397.963619
149.9611441404.4040211
249.42805934468.8080422
348.89497458533.2120634
448.36188983597.6160845
547.82880507662.0201056

これはエポック286の時に当プールへ100Kを委任していた場合のシミュレーションですが、10K の方は1/10、1Mの方は10倍で考えていただければと思います。

劇的な変化は見られないですが、手数料が高くなるほど報酬は少しずつ低くなります。

個人的には2%を越えるあたりでもらえる報酬額の変化が気になり始めました。

皆さんはどのラインが気になりましたでしょうか?

また、5%になると、0%と比べて、プールの利益が倍近く違うことが分かります。

ここでは報酬の観点でのみ書いてしまっておりますが、手数料が低いプールを推奨するものではありません。プールの活動内容や、Cardanoへの貢献度なども委任先選択の大事な考慮点として加えていただければと思います。

継続的な報酬分配ができているかの確認

次に、プールが継続して報酬分配できているかどうかを確認します。例えば、手数料が低くく設定されていても、サーバの稼働面で障害が多かったり、アップデート含めメンテナンスが行き届いていないと、ブロック生成を逃し、結果として報酬が減ってしまいます。

  • 固定手数料、委任手数料が低いと、その分報酬分配のためのADAが多く残ります。しかし、ステーク・プール・オペレータの観点からみると、手数料は長期における信頼性を高く保ち、運用をしっかりするための資本ともとらえられます。信頼性が高く安定して稼働することで、ブロック生成の機会を確実に得て、長期的には高い報酬になります。また、サーバ代だけではなく人件費も含め、事実に即した手数料を設定することが推奨されています。

そのため、「ブロック生成が継続的にきちんとできているか?」の確認はとても重要です。PoolToolの場合は、「エポックブロックが継続的に増えているか?」、「総ROSが5%近くか?(継続的に報酬を出しているか)」を確認します。プール運営の情報発信も一つの確認ポイントだと思います。

下記は、ステーク量(委任量)で表されるプールの大きさと総ROSの相関を表しています。ステークが大きくなるにつれてROSは5%近くで落ち着いていくことが読み取れます。このことからも、5%前後が一つの目安となりそうです。また、短期的には、ステークが小さいプール(左)は高/低ROSになることがありますが、継続的に運用をしていくと平均化されていきます。

  • ROSはPoolToolにおいてどれだけ報酬によるリターンがあるかを示す指標ですが、長期で委任を続けているとプールの大小関わらず、約5%へ収束するといわれています。(報酬は日々少量ずつ減っているため、2021年現在少し低くなってきています)

章のまとめ

もう一つ、オペレータの出資も報酬額に影響があるため、高いに越したことはないですが、影響力は巨大ではないようです(2021年4月現在)。プールの大小に関わらず、全体としてのROSをみると近い値に向かうとされており、しっかり運用が続けられているプールの中であればどこへ委任しても長期としては近い値の報酬が得られるといわれています。

体感でもそうですが、運による要素が大きく、同じADA数を委任した状態でもエポックごとに報酬が多かったり少なかったりと、振れ幅があります。短期では報酬に幅が出るが、長期的にはならされていくといわれています。

極端な手数料でない限り、「どのプールでも報酬は大きくは変わらないため、どこへ委任しても同じ」なのかもしれません。そこで次に大事になってくるのは、この後に述べる通り安心感だと考えております。

当ステークプールとしては、安定稼働はもちろんのこと、Cardanoネットワークに対して健全なプールを目指しております。その上で、ブログでの運用報告や、Twitterなどでの情報発信を通し、より安心してご委任いただけるよう心がけてまいります。

避けるプールを見つける

プール選択とは反対の考え方として、長期的にみて避けるべきプールをみつけるということも重要だと言えます。委任は長期的なもので、常に監視していることは難しいからです。画面越しに悪意を持った行為者を探し当てることは不可能でしょう。

まず、簡単にわかるところとしてはプール・オペレータの出資額が誓約した額に届いていない場合は報酬がもらえません。PoolTool上では、「宣言済み誓約(₳)」にバツがついています。

次に、最新ステーク(Live Stake)が赤いプールは飽和してしまっているため、報酬が減衰します。飽和度をモニターし続けられれば良いですが、すでに委任しているわけではなく、初回の委任であれば飽和に近いプールは避けておくのが無難です。飽和レベルは65 mほど(2021年10月現在)になります。飽和してしまったプールへ委任すると、検証では20〜30%報酬が下がったことがあります。これは、1 プール全体で獲得できる報酬には上限があり、それに対して、委任者(ステーク量)が増えれば増えるほど1委任者の報酬が減っていきます。こうすることで委任の分散を促進するような構造になっています。

悪質なところでは、委任をして安心しきったところ急に高い委任手数料(100%など)に変更するプールが出てきています。上で見た、「報酬分配までの計算」項の「2:委任手数料が差し引かれプール・オペレータへ払われる。」の部分に当たりますが、委任手数料が100%だと、委任者が気づくまで、ブロック生成に協力しているのに報酬は全てプールへ入る状態となり、委任者への報酬はなくなります。そのようなトラブルを避けるため、委任先プールのチェックは定期的にしましょう。

飽和と報酬の検証

飽和したプールが報酬に対してどれくらいの影響があるかをみてみます。現在(2020年12月23日時点)、飽和レベルは約64Mですが、委任量が150Mのプールをみてみました。

画像2

K=500になったエポック234以降では

Delegator Rewards: 92.4k → 39.8k (本来もらえていた報酬の約43%)
ROS%: 4.59% → 1.95%

となり、半分以下の報酬となっています。こちらは委任者全体への支払い総額になります。

別途、誓約2M、委任手数料0%、固定手数料340 ADAのパフォーマンスがとてもよさそうなプールへ委任してみました。飽和してしまっていたため報酬結果は下記でした。

画像3

Stake Rewards: 毎エポック約33 ADA → 23.5 ADA (他のパフォーマンス比較では劣るプールでもらえていた報酬と比べて約70%)
ROS%: 毎エポックだいたい5% → 3.91%

プールの設定(委任手数料、誓約)、飽和度、ブロック生成数もそれぞれ違いますし、委任量が日々変わっているのでケースにより比較が難しいところと思いますが、高い割合で報酬を得る機会を失っていることが分かりました。
なのでプールのモニターと、Kパラメータの動向は委任をするにあたり定期的にチェックすることが大切となります。

まとめ

委任先プールを探すにあたり、報酬を重視する場合、「報酬を継続的に得ることで、長期的に5%前後のROSを目指すこと」が大事と言えます。

そのための確認観点をもう一度まとめます。

  1. プールの手数料が妥当と思えるか
  2. 総ROSが5%前後を推移しているか
  3. ブロック生成が安定しているか
  4. プール運営上、飽和、誓約に問題ないか

数値ばかりではなく、他にプールの活動内容、安心して長期的な委任が可能かも大事な観点だと思います。

報酬の機会損失を避けるためにも、PoolToolBot登録をしておくことでプール情報が自動で通知されるように設定しておくのもお勧めです。こちらの手順もご活用ください。

最後に、コミュニティ、Twitter、プールのウェブサイトなどを覗いてみて、ご自身にあったプール・オペレータさんをみつけ、応援の意味で委任をしてみるなども、Cardanoの掲げるプール分散化への貢献にもつながり大事な観点だと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事が役に立ったなどありましたら、SUGARステークプールへの委任のご検討、ご協力をよろしくお願いいたします。